いきなり大型二輪免許は取得できない?

更新日:2023年9月20日
「いきなり大型二輪免許を取得する」
言いかえると、普通二輪免許を取得しないで大型二輪免許を取得する事を指します。当校にも「いきなり大型二輪を取れますか?」といった、お問合せをいただきます。
結論から申し上げると取得する事は可能ですが、大型二輪は普通二輪と比較してパワーや重量の違いから、教習を進めるにあたって苦労する部分が多々あります。それ以外にも、免許更新に関する事務手続き、それに伴う費用など知られていない部分が多くあります。
ここでは、「普通二輪免許を取得されて、大型二輪免許を取得する場合」と「いきなり大型二輪免許を取得する場合」の違いと比較を御紹介させていただきますので、ご検討頂ければと思います。
1 教習時間
教習時間(基準時間)の違いは、以下のようになります。(普通車免許所持の方)
普通二輪免許を取得して大型二輪免許を取得
技能 | 学科 | |
---|---|---|
普通二輪 | 17H | 1H |
大型二輪 | 12H | 免除 |
合計 | 29H | 1H |
学科教習は、危険予測ディスカッションを行います。
いきなり大型二輪を取得
技能 | 学科 | |
---|---|---|
大型二輪 | 31H | 1H |
合計 | 31H | 1H |
学科教習の内容は、危険予測ディスカッションを行います。
教習時間を比較した場合「いきなり大型二輪免許を取得する」方が基準時間は2H多くなります。これは、「普通二輪免許を取得して大型二輪免許を取得する」方が、普通二輪の教習を通じてバイクを操作する技術及び知識等が、一定の水準に到達していると考えられるためです。そういった事を含めて、基準時間を見ると「普通二輪免許を取得してから大型二輪免許を取得する」方に、メリットがあると言えます。但し、この場合は、普通二輪免許の交付を受けてから大型二輪の教習を開始しなければなりません。これは、以下の理由があるためです。
2 免許証になるまで
普通二輪免許を取得されてから大型二輪免許を取得される場合、普通二輪免許の交付を受けてから、大型二輪で御入後、教習開始となります。これは、普通二輪免許の交付を受けなければ、普通二輪免許保有者としての御入校及び教習時間を適用できないためです。
普通二輪免許の交付を受けるには、免許センターに赴く必要があります。その際、免許センターに赴く移動時間及び費用、免許交付手数料などの費用が発生します。又、大型二輪免許の交付を受けるため再度、免許センターに赴く必要があります。
教習時間は2時間少なくなりますが、別途で時間や費用が掛かることになります。因みに、いきなり大型二輪免許を取得する場合は、免許センターに赴く回数は1回となります。
ここまでは、教習時間などについて御紹介致しました。ここからは、教習や運転(操作、重量)に関する違いを比較してみます。
3 操作
二輪車(バイク)の運転は、右手・左手・右足・左足をタイミングよく動かしながら操作を行います。加えて、バランスを取る必要があるため、運転自体に慣れるまで一定の時間を要します。又、進行判断、安全確認、合図等、交通法規に従った安全運転が求められます。意識と集中力の大半を操作とバランス取りに注いでいる中、安全運転を考えて運転する事は容易ではありません。
車重の軽い普通二輪であれば、バランスが取りやすいため、比較的短時間で操作に慣れる事ができます。反対に、いきなり車重の重い大型二輪を扱う場合、操作に慣れるまで相当の時間が必要となります。まずは、普通二輪でバイクの操作などを身に着けて大型二輪の教習を開始する方が、肉体的、精神的負担を軽減できます。
4 重量
教習車で比較した場合、普通二輪と大型二輪の重量差は以下のようになります。

車種 | 重量 |
---|---|
普通二輪 | 198㎏ |
大型二輪 | 210㎏ |
車重の差は12㎏です。「いきなり大型二輪免許を取得する」場合、12㎏以上に重さを感じる方が殆どです。
車重が重い場合、バランスを崩しやすいだけでなく、取りまわし(車体を押して歩く)、引き起こし、曲がる際の車体の傾け方、低速走行時のバランス取り(渋滞時の速度)などが普通二輪比べて難しくなります。普通二輪免許を取得されていると、上記事項に対して慣れている事に加えて、コツを掴んでいるため、いきなり大型二輪を取得される場合よりもスムーズに教習を進める事ができます。
大型二輪の詳細(車重等)はコチラ
教習車両
NC750の場合、これまでに使用していたCB750に比べて、車重が非常に軽くなりました。これにより、取扱いがスムーズになり、下記でも触れますが「課題走行」において、お客様の負担が減少しています。但し、これに関しては、以前の教習車と比較した場合になります。
教習車が取扱いやすくなったとはいえ、バイクを運転するポイントを抑えていることは、スムーズな走行を実現するためには、重要となります。
5 教習
二輪教習には、課題走行と言われる二輪教習特有の練習があります。一般的には、スラローム、一本橋、クランク、エス、急制動の課題コースが設定されています。これらの課題は、二輪免許を取得される場合に必ず練習を行い、卒業検定の課題として設定されています。大型二輪免許を取得される場合は、上記の課題に波状路が加わります。
二輪免許を取得する場合、第一段階では課題走行に多くの時間を割きます。
いきなり大型二輪免許を取得される場合、1段階の教習時間が14時間です。この内、約9時間前後を課題走行の練習に使います。
「流石に9時間も練習すれば出来るでしょ」と言われる事がありますが、指導員として「いきなり大型二輪免許を取得される」方の教習に携わってきましたが、9時間で課題走行をスムーズに出来た方をあまり見た事がありません。これは、技術的な問題などではなく、慣れの問題が大きく関わっていると考えています。
いきなり難易度の高い物で、難易度の高い事をしようとするのは難しい事です。少しずつ時間を掛けて慣れる事で徐々に出来るようになり、難易度の高い事を出来るようになります。個人差はありますが、このような慣れる時間が教習には必要です。
普通二輪免許を取得されてから、大型二輪免許の教習に臨まれると、普通二輪の経験(慣れ)と技術が確実に活かされるため、大型二輪に慣れる時間が圧倒的に早くなり、課題走行がスムーズに出来るようになります。加えて、普通二輪免許を取得した自信が強い後押しをしてくれています。

課題走行の練習目的は、状況に応じたバランスの取り方、道路形状に応じた速度調節(それに応じた操作)などを、身に着けながら技術力を高める所にあります。技術力が高まれば、様々な道路状況に対応して余裕のある運転が可能となるため、安全運転にも繋がるため重要な練習になります。
6 現状
最近の状況としては、「いきなり大型二輪免許」を希望される方は、減少しています。その要因を教習中のお客様に伺ってみると「周りの人に普通二輪免許から取る方を勧められた」「跨ってみたら、いきなりは難しいそうと感じたから」など、友人、知人の方からのアドバイスを参考にされたり、実際に跨ってから判断される方が増えています。
当校では、申込前に実際に教習車に跨って判断することができますので、お気軽にお声掛け下さい。
セットプラン
当校では、普通二輪免許と大型二輪免許を併せて取得するプランを御用意しております。このプランを利用した場合、普通二輪の教習から開始して普通二輪免許を取得後、大型二輪の教習を開始します。普通二輪免許を取得して大型二輪免許を取得することになりますが、セットプランをご利用の場合、キャンペーンを適用できるため、お得に大型二輪免許が取得可能です。
自動車学校ごとに様々な商品が用意されていますので、御自身にピッタリのプランを見つけて頂きたいと思います。
7 指導員の経験から
指導員としての経験から申し上げますと、普通二輪免許を取得してから大型二輪免許を取得する事をオススメしています。
過去に数十名ですが、いきなり大型二輪免許で御入校された方を担当させて頂きました。その経験を基に、お話させて頂くと、第一段階の課題走行に入ってから、多くの方が苦戦されていました。その理由としては、課題走行は複雑な操作が必要となる上、運転操作とパワーに慣れていない場合、操作に殆どの意識が取られてしまうため、課題走行どころではないからです。普通二輪の場合は、パワーが抑えられており車重も軽いため、操作に意識が取られ過ぎる事がないため、割合スムーズに進む方が多くなります。
教習開始当初は、操作手順を頭で考えながら操作を行うようになります。又、手順を間違えてしまうと、パワーがあるため暴走する可能性もあります。その為、心理的に速度を控えて、ゆっくりと慎重に操作したくなります。頭で考えながら、慎重に操作する事を意識的に行う事は、想像以上に体力を消耗します。
操作に慣れてくると、次に重量の問題が出てきます。特に、課題走行においては重量が影響を及ぼします。それでも、時間を掛けて慣れる事ができるので、最終的に皆さん卒業されています。
二輪免許教習の特徴として、ステップアップ方式というものがあります。これは、大型二輪の教習中に普通二輪等を用いて教習を行う方法をいいます。無論、教習時間の全てを普通二輪を用いることができません。そのため、運転の感覚に慣れる事に関しては、効果的なのですが再び大型二輪に戻ると、その違いに苦戦される方が多くいらっしゃいました。
上記のような経験をさせて頂いたことから、普通二輪免許を取得されてから大型二輪免許取得をオススメしています。
8 最後に
いきなり大型二輪を取得する事は可能ですが、様々な苦労があります。中には、それでも最初から大型二輪を取得される方もいらっしゃいますが、「先に中免を取っておいた方が良かった」と仰られる方が多数です。
最初は、普通二輪に慣れていただいて、大型二輪へ移行された方が、余裕を持って大型二輪免許を取得できる可能性が高くなります。
大型二輪免許は、ハードルの高さから羨望の眼差しを受ける免許の1つです。しかし、車両が新しくなった事で以前に比べて免許がスムーズに取得できるようになっています。憧れだった大型二輪免許は、すぐそこです。
いきなり大型二輪を取得されたい場合は、当校では「お客様係」を御用意しておりますので、ご相談下さい。