いきなり大型二輪免許は取得できない?
更新日:2024年7月30日
「いきなり大型二輪免許を取得する」
言いかえると、普通二輪免許を取得しないで大型二輪免許を取得することを指します。当校にも「いきなり大型二輪を取れますか?」といった、お問合せをいただきます。
結論から申し上げると取得することは可能ですが、大型二輪は普通二輪と比較してパワーや重量の違いから、教習を進めるにあたって苦労する部分が多々あります。また、免許交付に関する事務手続き、それに伴う費用など、知られていない部分が多くあるため注意が必要です。
ここでは、「普通二輪免許を取得されて、大型二輪免許を取得する場合」と「いきなり大型二輪免許を取得する場合」の違いについて、ご紹介させていただきますので、参考にしていただければと思います。
1 教習時間
教習時間(基準時間)の違いは、以下のようになります。(普通車免許所持の方)
普通二輪免許を取得して大型二輪免許を取得
技能 | 学科 | |
---|---|---|
普通二輪 | 17H | 1H |
大型二輪 | 12H | 免除 |
合計 | 29H | 1H |
学科教習は、危険予測ディスカッションを実施します。
いきなり大型二輪免許を取得
技能 | 学科 | |
---|---|---|
大型二輪 | 31H | 1H |
合計 | 31H | 1H |
学科教習の内容は、危険予測ディスカッションを実施します。
教習時間を比較した場合「いきなり大型二輪免許を取得する」方が基準時間は、2H多くなります。
これは「普通二輪免許を取得して大型二輪免許を取得する」方が「いきなり大型二輪免許を取得する」場合に比べて、普通二輪免許取得していることでバイクを操作する技術などが、一定の水準に到達していると考えられるためです。
そういったことも含めて、基準時間をみると「普通二輪免許を取得してから大型二輪免許を取得する」方に、メリットがあると言えます。但し、この場合、普通二輪免許の交付を受けてから大型二輪の教習を開始しなければなりません。これは、以下の理由があるためです。
2 免許証になるまで
普通二輪免許を取得されてから大型二輪免許を取得される場合、普通二輪免許の交付を受けてから、大型二輪でご入校後、教習開始となります。これは、普通二輪免許の交付を受けていなければ、普通二輪免許保有者としての教習時間が適用できないためです。
免許の交付は、免許センターで行うため「普通二輪を取得してから、大型二輪免許を取得する」場合、免許の交付回数は2回になります。「いきなり大型二輪免許を取得する」場合は、免許の交付回数が1回になります。
交付に関しては、交付手数料などが発生するため、こういった費用を考慮しておく必要があります。
ここまでは、教習時間などについてご紹介いたしました。ここからは、教習内容や運転(操作、重量)に関する違いについて比較してみます。
3 操作
二輪車(バイク)の基本操作は、右手・左手・右足・左足をタイミングよく動かします。加えて、バランスを取る必要があるため、運転自体に慣れるまで一定の時間を要します。又、進行判断、安全確認、合図等、交通法規に従った安全運転が求められます。意識と集中力の大半を操作とバランス取りに注いでいる中、安全運転を考えて運転することは容易ではありません。
車重の軽い普通二輪であれば、バランスが取りやすいため、比較的短時間で操作に慣れることができます。反対に、いきなり車重の重い大型二輪を扱う場合、操作に慣れるまで相当の時間が必要となります。まずは、普通二輪でバイクの操作などを身に着けて大型二輪の教習を開始する方が、肉体的、精神的負担を軽減できます。
4 重量
教習車を比較した場合、普通二輪と大型二輪の重量差は以下のようになります。
車種 | 重量 |
---|---|
普通二輪 | 198㎏ |
大型二輪 | 210㎏ |
車重の差は12㎏です。「いきなり大型二輪免許を取得する」場合、12㎏以上に重さを感じてしまうお客様が多くいらっしゃいます。
車重が重い場合、バランスを崩しやすいだけでなく、取りまわし(車体を押して歩く)、引き起こし、曲がる際の車体の傾け方、低速走行時のバランス取り(渋滞時の速度)などが普通二輪と比べて難しくなります。反対に、普通二輪免許を取得されていると、車重が重い場合でも上記事項に対して慣れているだけでなく、コツを掴んでいることから、いきなり大型二輪を取得される場合よりもスムーズに教習を進めることができます。
大型二輪の詳細(車重等)はコチラ
教習車両
NC750の場合、これまで使用していたCB750に比べて、車重が非常に軽くなりました。これにより、取扱いがスムーズとなり、下記でも触れますが「課題走行」において、お客様の負担が減少しています。但し、この部分に関しては、以前の教習車と比較した場合になります。
教習車が取扱いやすくなったとはいえ、バイクを運転するポイントを抑えていることは、スムーズな走行を実現するためには、重要となります。
5 教習
二輪教習には、課題走行と言われる二輪教習特有の練習があります。課題とは、一般的に「スラローム」「一本橋」「クランク」「エス」「急制動」と呼ばれており、特別なコースが設定されています。これらの課題は、二輪免許を取得される場合、必ず練習を行うだけでなく、卒業検定の課題としても設定されています。大型二輪免許を取得される場合は、上記の課題に波状路が加わります。
二輪免許を取得する場合、第一段階では課題走行に多くの時間を割きます。
いきなり大型二輪免許を取得される場合、1段階の教習時間が14時間です。この内、約9時間前後を課題走行の練習に使います。
「流石に9時間も練習すれば出来るでしょ」と言われることがありますが、指導員として「いきなり大型二輪免許を取得される」方の教習に携わってきましたが、9時間で課題走行をスムーズに出来た方をあまり見たことがありません。これは、技術的な問題などではなく、慣れの問題が大きく関わっていると考えています。
いきなり難易度の高いバイクで、難易度の高いことをするのは容易ではありません。少しずつ時間を掛けて、バイクに慣れることで徐々に出来るようになり、難易度の高いことが出来るようになります。個人差はありますが、このような慣れる時間が教習には必要です。
普通二輪免許を取得されてから、大型二輪免許の教習に臨まれると、普通二輪の経験(慣れ)と技術が確実に活かされるため、大型二輪に慣れる時間が圧倒的に早くなり、課題走行がスムーズに出来るようになります。加えて、普通二輪免許を取得した自信が強い後押しをしてくれます。
課題走行の練習目的は、状況に応じたバランスの取り方、道路形状に応じた速度調節(それに応じた操作)などを、身に着けながら技術力を高める所にあります。技術力が高まれば、様々な道路状況に対応して余裕のある運転が可能となるため、安全運転にも繋がるため重要な練習になります。
6 現状
現在「いきなり大型二輪免許」を希望される方は、減少しています。その要因を教習中のお客様に伺ってみると「周りの人に普通二輪免許から取るように勧められた」「跨ってみたら、いきなりは難しそうと感じたから」など、友人、知人の方からのアドバイスを参考にされたり、実際に跨ってから考えた上で、普通二輪免許から取得されています。
当校では、申込前に実際に教習車に跨って判断することができますので、お気軽にお声掛け下さい。
セットプラン
当校では、普通二輪免許と大型二輪免許を併せて取得するプランをご用意しております。このプランを利用した場合、普通二輪の教習から開始して普通二輪免許を取得後、大型二輪の教習を開始します。普通二輪免許を取得して大型二輪免許を取得することになりますが、セットプランをご利用の場合、当校の場合であれば、キャンペーンを適用できるため、お得に大型二輪免許が取得可能です。
自動車学校ごとに様々な商品が用意されていますので、ご自身にピッタリのプランを見つけていただきたいと思います。
7 指導員の経験から
指導員としての経験から申し上げますと、普通二輪免許を取得してから大型二輪免許を取得すことをオススメしています。
過去に数十名ですが、いきなり大型二輪免許でご入校された方を担当させていただきました。その経験を基に、お話させてもらうと、第一段階の課題走行に入ってから、多くの方が苦戦されていました。
その理由としては、課題走行では複雑な操作が必要となるためです。そこに、運転操作とパワーに慣れていない状況が加わると、操作に意識の大半が取られてしまうことになり、課題走行どころではなくなるからです。普通二輪の場合は、パワーが抑えられており車重も軽いため、操作に意識が取られ過ぎることがないため、スムーズに進む方が多くなります。
教習開始当初に関しては、操作手順を頭で考えながら操作を行う形になります。更に、手順を間違えてしまうと、パワーがあるため暴走の恐怖から、心理的に速度を控えて、ゆっくりと慎重に操作したくなります。
このように頭で考えながら、慎重に操作するような場合、想像以上に体力を消耗するため、教習開始当初は疲れを感じる方が多くなります。
操作に慣れてくると、次に重量の問題が出てきます。特に、課題走行においては重量が影響を及ぼします。それでも、時間を掛けて慣れることができるので、最終的に皆さん卒業されています。
二輪免許教習の特徴として、ステップアップ方式というものがあります。これは、大型二輪の教習中に普通二輪等を用いて教習を行う方法をいいます。無論、教習時間の全てを普通二輪を用いることができません。そのため、運転の感覚に慣れる事に関しては、効果的なのですが再び大型二輪に戻ると、その違いに苦戦される方が多くいらっしゃいました。
上記のような経験をさせて頂いたことから、普通二輪免許を取得されてから大型二輪免許取得をオススメしています。
8 最後に
いきなり大型二輪を取得することは可能ですが、様々な苦労があります。中には、それでも最初から大型二輪を取得される方もいらっしゃいますが、「先に中免を取っておいた方が良かった」と仰られる方が多数です。
最初は、普通二輪でバイクの運転方法などに慣れていただいてから、大型二輪へ移行された方が、余裕を持って大型二輪免許を取得できる可能性が高くなります。
大型二輪免許は、イメージ、ハードルの高さから羨望の眼差しを受ける免許の1つです。しかし、車両が新しくなったことで、以前と比較すると免許取得がスムーズにできるようになっています。憧れだった大型二輪免許は、すぐそこです。
いきなり大型二輪を取得される場合と普通二輪免許を取得される場合の違いを述べさせていただきました。
いきなり大型二輪免許を取得されたい場合は、当校では「お客様係」をご用意しておりますので、ご相談下さい。