バイクの二人乗りってどうなってるの?
更新日:2024年2月26日
バイクの二人乗りは、経験年数、排気量、構造(二人乗り用のシートなどの有無)などの条件(法令)があります。又、高速道路と一般道路によって年齢の条件があります。
「子供を乗せてツーリングしたい」「車の代わりにバイクで送迎をしたい」「ツーリングデートに行きたい」など、バイク免許を取得したら二人乗りをしたい方は、多くいらっしゃいます。
しかし、二人乗りには、法令、二人乗り特有の危険性など知っておかなければならないことが多々あります。
ここでは、そういったバイクでの二人乗りに関する条件や二人乗り特有の危険性、安全な二人乗りの方法についてご案内致しますので、二人乗りを始める前に参考にしていただければと思います。
二人乗りの条件
二人乗りは、誰でもできることではありません。二人乗りを行うためには、運転するバイクに応じた免許を取得していることだけでなく、二人乗りを行うための条件(法令)を満たしておく必要があります。その条件(法令)とは、経験年数とバイクの排気量、乗車定員になります。また、一般道路と高速道路では、経験年数と年齢制限が異なるため注意が必要です。
一般道路
一般道路で二人乗りを行うためには、以下のように定められています。
経験年数
一般道路で二人乗りを行う場合は、普通二輪免許(小型限定含)又は、大型二輪免許を受けていた期間が通算して1年以上経過していなければなりません。
普通二輪免許を受けてから1年以上経過していれば、普通二輪で二人乗りを行うことができます。
また、大型二輪で二人乗りを行う場合は、普通二輪免許(小型限定含)を受けていた期間が通算して1年以上経過していれば、大型二輪免許を受けてから1年以上経過していなくても、二人乗りが可能となります。但し、普通二輪と大型二輪ではパワー、重量などが異なることから相応の技術が必要となります。まずは、大型二輪の運転に慣れてから、二人乗りを行うかどうかを判断することが大切です。
排気量と乗車定員
二人乗りが可能なバイクは、排気量が51㏄以上で乗車定員が2名となっているバイクです。バイクの種類によっては、乗車定員1名のバイクもあるので必ず乗車定員を確認しましょう。
高速道路
高速道路とは、自動車専用道路及び高速自動車国道を示します。
年齢
高速道路で二人乗りを行う場合は、運転者の年齢が20歳以上でなければなりません。
経験年数
高速道路で二人乗りをする場合は、普通二輪免許または、大型二輪免許を受けていた期間が通算して3年以上経過していなければなりません。
普通二輪免許を受けていた期間が通算して3年以上であれば、高速道路で普通二輪の二人乗りを行うことができます。又、大型二輪で二人乗りを行う場合は、普通二輪免許(小型限定含)を受けていた期間が通算して3年を経過していれば、大型二輪免許を受けていた期間が通算して3年を経過していなくても、二人乗りが可能となります。 但し、普通二輪と大型二輪ではパワー、重量などが異なる上、高速走行となると高い技術と判断力が必要となります。まずは、大型二輪の運転と高速道路の運転に慣れてから判断することが大切です。
排気量と乗車定員
高速道路を通行できるバイクは、排気量が125㏄を超えるバイクです。従って、高速道路で二人乗りを行う場合は、排気量が125㏄を超えており、かつ乗車定員が2名のバイクでなければなりません。
上記のように、二人乗りについて条件(法令)が定められていますが、それだけを守っていれば何処でも二人乗りをしても良いというわけではありません。道路によっては、二人乗りでの通行を禁止されている道路があります。
二人乗りの禁止
二人乗りが禁止される場合として、上記の条件(法令)を満たしていない場合のほか下図の標識が設置されている道路では、二人乗りでの通行が禁止されています。
この標識の名称は「大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止」と言います。
意味としては「この標識がある道路では、大型二輪車または普通二輪車で通行するときに、二人乗りをしてはいけません。」となります。
二人乗りで運転中は、この標識に注意にして運転する必要があります。
技術
技術に関して、二人乗りを禁止する法令はありません。しかし、バイク免許を取得して1年以上経過したものの、ほとんど運転していない場合は、二人乗りを控えた方が良いかもしれません。その理由として、バイクは一人で運転するよりも、二人乗りで運転する方が難しいためです。
例えば、二人乗りを行う場合、同乗者が乗車する事で総重量が重くなります。そのため、加速が鈍いので上手く合流できなくなる可能性があります。加えて、同乗者の動きが運転に大きな影響を及ぼすため、バランスを崩しやすくなります。停止時では、停止距離が伸びやすいため事故に繋がる可能性が高くなります。
バイク免許を取得して1年以上経過していても、ほとんど運転していない場合は、二人乗りを控えて、一人で運転する練習をすることをお勧めします。まずは、バイクの運転に慣れてから二人乗りを実施するようにしましょう。
二人乗りの特性
安全にバイクの二人乗りを行う場合は、二人乗りの特性を掴むなど事前の準備が必要です。特性について下記に纏めてみました。
加速
総重量が重くなることから、加速が鈍くなります。そのため、合流や右折時にもたついたり、上り坂で失速するなど、瞬発力が求められるような場面で危険に繋がる場合があります。特に、右折時は事故に直結する可能性があるため、余裕のある時機で右折するようにしましょう。
また、急加速に注意しなければなりません。急加速をすると同乗者が急に後ろに引っ張られるため、自分の体を運転者の体で支えようとします。それに応じて、運転者が後方に引っ張られる事でバランスを崩しやすくなります。同乗者が子供の場合は、落下の危険性があるので一層の注意が必要です。
減速
減速時は前がかりになり、同乗者の体重が運転者に掛かります。そうなると、運転者が同乗者の体重を支えるようになります。この場合、ハンドル操作が出来なくなりバランスを崩してしまう恐れがあるため、早めの減速を心がけましょう。
急減速は、急激に総重量(体重、車重)が前タイヤの掛かってしまうため、前タイヤがロックして転倒する可能性があるので、手前から余裕のある減速をしましょう。
カーブ
カーブでは車体を傾けて曲がるようにします。しかし、同乗者は反射的に車体が傾いている反対方向に体を動かす可能性があります。そうなった場合、カーブを曲がり切れなくなる事があります。余裕のある速度でカーブに進入しましょう。
右折、優先路への進入
発進速度が鈍くなるため、右折時や優先路進入時など他車の前に入る場合は、余裕のあるタイミングで進行するようにしましょう。
同乗者に関して
同乗者がバイク免許を持っていない場合、運転者ほどの緊張感が無く、集中力が疎かになりやすい事から、運転者に比べて危険察知、危険予測に対する反応が遅くなる場合があります。そのため、転倒した際に受け身を取るタイミングが遅れたりするなど、運転者に比べて怪我をする可能性が高くなる場合があります。同乗者の方には、運転者と同程度の緊張感と集中力を持たせるようにしましょう。
更に、バイク免許未取得者は、不必要に体を動かすなど運転者に対して、不都合な動きをする事があります。こういった事案を防止するために、以下のような対策を行うと安全な二人乗りができるようになります。
運転者と一体となる
加速、減速、カーブなど体に動きが出る場面では、バイクの動きと運転者の行動を予めレクチャーしておきましょう。例えば、「加速時は体を引かないようして欲しい」「減速時は、体重をできるだけ掛けないで欲しい」「カーブでは運転者と同じように動いて欲しい」など、安全運転に必要な事項を伝えるようにしましょう。
正しく同乗
正しい同乗方法のポイントは、足のかけ方(ステップ)、運転者への捕まり方、視線の向け方があります。
ステップには、足の土踏まずを乗せます。そして、下方向に体重を掛けるようにして、体が前後に揺れすぎないようにします。運転者への捕まり方は、運転者の腰付近に手を回します。更に、膝で運転者の腰を挟み込むようにします。こうする事で体がしっかりと固定されるため、運転者に合わせた行動がとりやすくなります。
車体後方に握り手がある場合は、片方の手で握り手を掴むのも一つの方法です。
但し、同乗者と運転者がくっつきすぎると、運転者の動きが制約されます。反対に、離れすぎると運転者が同乗者の動きを察知できなくなるため適度な距離感が必要です。
子供などステップに足が届かない場合は、安全な乗車が行えないため二人乗りを避けるようにしましょう。
服装など
同乗者のヘルメット着用は義務であるため、必ずヘルメットを準備しましょう。最近では、インカム内蔵のヘルメットが販売されており、運転中の会話がしやすいため重宝されています。
服装は運転者と同じように、肌の露出が少なくなるようにしましょう。可能であれば、ライディングウェアが好ましく、プロテクター内蔵の物であれば安心です。次に、グローブの着用です。転倒した際に手を着いて、怪我をすることがあります。手をついた瞬間は、思わぬ怪我に繋がる場合があるため、グローブを装着しましょう。
靴は、バイク用ブーツがベストです。スニーカーでも代替可能です。但し、紐がほどけて絡まる事案が発生しているため、紐がほどけないように注意しましょう。
合図
走行中の会話は、インカムなどを使わない限り、困難です。したがって、インカムなどを使用していない状況では「休憩したい」「お手洗いに行きたい」といった必要なことを伝えるために、ハンドサインなどを手段を用いるようにしましょう。
制限
二人乗りは指定された位置以外に乗車させる事が禁止されているため、子供をおんぶするなどの方法で二人乗りをすることはできません。
道路交通法では、同乗者について具体的な規定は設けられていません。ただし、保安基準で二人乗りが可能なバイクとして「握り手及び足掛け(ステップ)を有するもの」と記載されています。このことから、同乗者が握り手及び足掛けを正しく使用できる人が良いと考えることができます。
必要な準備
二人乗りをする際には、ヘルメットの購入が必須です。後ろに乗っている人のヘルメットは、サイズが合っていないものや、ハーフサイズのヘルメット、原付用のヘルメットなど、簡易的なものを使っている人をよく見かけます。しかし、上記でも述べたように、後ろに乗っている人は運転者よりも怪我をする可能性が高くなります。そのため、適切なヘルメットを着用することが重要です。また、着用時には、顎紐をしっかり締めてください。
また、保険の補償内容を確認しましょう。場合によっては、同乗者が保険の対象外となっている場合があるため、事前の確認を怠らないようにしましょう。
二人乗りを経験してみて
二人乗りの経験から得た重要なポイントは速度です。カーブなどで速度が速い場合、車体を深く傾ける必要があります。しかし、同乗者がいる場合、車体を傾けにくくなり、カーブで膨らんでしまう可能性があります。この状態ではカーブを曲がり切れなくなり、事故に繋がる可能性があります。さらに、速度が速い状態で事故が起きると、大きな怪我に繋がるため、速度には十分に注意して下さい。
更に、制動距離の変化に注意が必要です。二人乗りを行うと、単純に同乗者分の体重が加算されるため、制動距離が長くなります。影響については、上記でも記載していますが、状況によっては驚くほど停止できない場合があります。また、ブレーキ操作の方法によっては、バランスを崩す場合もあります。そのため、充分な車間距離の確保と早めのアクセルOFFが重要になります。
二人乗りの状態では、安全に通行できる速度と車間距離で運転するように心がけましょう。