バイクの起こし方

更新日:2024年11月26日
「バイクの免許が欲しいけど、倒れたバイクを起こせる気がしない」
「免許は取れたけど、バイクを起こせる自信がない」
など、倒れたバイクを起こすこと(以下、引き起こし)に不安を感じている方は、多くいらっしゃると思います。
バイク免許取得に関するご相談の中でも「バイクを起こせないと入校できませんか?」といった、バイクを起こすことに関する内容が最も多くなっています。
不安な方が多い「引き起こし」ですが、コツを掴めばスムーズにバイクを起こせるようになります。
ここでは、引き起こしのポイントについて、現役指導員の秘訣とコツについてご紹介いたします。
起こし方のポイント
バイクを起こすポイントは、以下の3つです。
- ①低い姿勢
- ②車体への体の当て方
- ③車体を押す(持ち上げない)
上記、3点のポイントを抑えるとバイクの引き起こしがスムーズになります。
それでは、1つずつ説明します。
低い姿勢
バイクを起こす際は、低い姿勢で行います。これは、しゃがんだ状態から起こしてしまうと、腰への負担が大きくなり、腰痛の原因となる可能性が高くなるためです。また、しゃがんだ状態では「持ち上げる」状態となり、力でバイクを起こす形になるので、ある程度の筋力がないとバイクを起こすことは難しいです。
では、低い姿勢とはどういった姿勢になるのでしょうか?
ベストな引き起こしのフォームは、画像のようになります。
まず、シートの横で膝をつきます。膝を着いたら、左手はグリップ(クラッチは握らない)、右手は車体(フレーム)を持ちます(反対に車体が倒れている場合は、左手が車体になり、右手がハンドルになります)。
次に、胸をシートに当てて、足を伸ばします。この時、腰が浮きすぎないように注意しましょう。


足をしっかり伸ばして低い姿勢を取りましょう。この姿勢で引き起こしを行うと、体の負担を最小限に抑えられるだけでなく、体全体を使えるため、力がなくてもバイクを起こせるようになります。まずは、この姿勢を取るようにしましょう。
車体への体の当て方
低い姿勢を取る際は、胸をシートに押し当てるようにします。胸とシートが離れてしまうと、力を上手く伝えることが難しくなります。胸を押し当てることで、体全体の力をバイクに与えることができるようになります。
胸をシートに当てた際、手の位置はハンドルと車体(フレーム)を握るようにします。


力の入れ方
最後に力の入れ方です。力を入れるイメージは「上ではなく前」です。「前」というのは、バイクを前に押し出すようなイメージです。バイクを前に押し出すようにすると、タイヤがストッパーとなり車体がめくれるように起き上がります。

力を上に入れようとすると「バイクを持ち上げる」形となるため、かなりの力がないと車体を起こすのは難しくなります。
力を入れる時の姿勢は、利き足を曲げて陸上のスタートの形を作ります。

体勢が整ったら、一気に前に押し出すようにします。
動画で確認
ニュートラルの場合
ギアがニュートラルの場合、バイクを起こす際にタイヤが動いてしまい、難易度が上がります。転倒した際に、ギアがニュートラルの場合は、以下の方法でバイクを起こすようにしましょう。
バイクが左に倒れた場合、クラッチ握ってギアを入れます(ギアが入っていない場合)。ギアを入れることでタイヤがロックされて、起こしやすくなります。
バイクが右に倒れた場合は、前ブレーキを握った状態で起こすようにするとタイヤが回転しないため、起こしやすくなります。
転倒を防止するコツ
バイクを容易に起こすことは、必要な技術の1つですが、最も重要なポイントは「転倒しない」ことです、転倒しないためには、転倒しやすい場面を知っておいて、事前に準備することが必要です。転倒しやすい場面としては、以下のような瞬間があります。
ハンドルを切った状態で停止する場合、ハンドルを切っている方向に車体が傾きながら停止します。この時に、傾いてくる車体を支え切れずに、転倒するケースがあります。教習で転倒する場合は、このケースが大半ですが、このケースは少しポイントを押さえるだけで転倒を防止することができます。
ポイントは、足を着く場所とタイミングになります。まず、足を着く場所はステップの斜め前方にします。こうすることで、踏ん張りやすくなります。ステップの真横に足を着いてしまうと、足を広げるようになるため、踏ん張りが効きづらくなります。
次に、足を着くタイミングです。理想的なタイミングは、普段のタイミングより早めにします。停止しながら車体が傾くと、停止した瞬間にバイクが一気に倒れてきます。そのため、停止直前に足を出すと支えきれなくなります。イメージとしては、停止のタイミングに合わせて足を出すのではなく、足を出してからバイクを停めるようにするとベストです。
最後に
バイクの起こし方は、数種類ありますが、今回ご紹介した方法は、オーソドックスな形になります。他にも、バイクを起こす方法は、幾つかあります。まずは、バイクを起こす方法について、調べてみましょう。
バイクは、二輪車なので倒れることが当たり前です。自動車学校では、バイクを倒さないように乗るポイント、倒した(倒れた)バイクを起こすポイントについてアドバイスを行います。「倒れたらどうしよう」と考える前に、倒さないための方法、倒れたバイクを起こす方法を身に着けることが大切です。
起こすことが不安な方は、自動車学校に相談していただけると幸いです。