バイクの起こし方
更新日:2023年5月17日
「バイクの免許が欲しいけど、倒れたバイクを起こせる気がしない」
「免許は取れたけど、バイクを起こせる自信がない」
など、倒れたバイクを起こす事(以下、引き起こし)に不安を感じている方は、多くいらっしゃると思います。
実際に、免許取得を悩まれる方の多くが「バイクを起こす」事に不安を感じて、免許取得を躊躇されています。
苦手、不安な方が多い「引き起こし」ですが、コツを掴めばスムーズにバイクを起こせるようになります。
ここでは、引き起こしのポイントについて、現役指導員の秘訣をコツについて解説していますので、参考にして頂きたいと思います。
起こし方のポイント
バイクを起こすポイントは、以下の3つです。
- ①低い姿勢
- ②車体への体の当て方
- ③車体を押す
上記、3点のポイントを抑えるとバイクの引き起こしがスムーズになりますので、覚えておきましょう。
では、1つずつ説明します。
低い姿勢
バイクを起こす際は、低い姿勢で行います。これは、腰を浮かせた状態で行うと、腰への負担が大きくなり、ギックリ腰など腰痛の原因となるからです。又、腰を浮かせると「持ち上げる」状態となり、力を伝えにくいため、相当の筋力がないとバイクを起こす事は困難です。
では、低い姿勢とはどういった姿勢になるのでしょうか?
ベストな引き起こしのフォームは、下の画像を参考にして下さい。
まず、シートの横で膝をつきます。膝を着いたら、左手はハンドル、右手は車体(フレーム)を持ちます(反対に車体が倒れている場合は、左手が車体になり、右手がハンドルになります)。
次に、胸をシートに当てて、足を伸ばします。この時、腰が浮きすぎないように注意しましょう。
このように、足を伸ばした低い姿勢を取りましょう。この姿勢で行うと体への負担を最小限にできるだけでなく、体全体を使って起こすため、力がなくてもバイクを起こせるようになります。まずは、この姿勢を取るようにしましょう。
車体への体の当て方
低い姿勢を取る際は、胸をシートに押し当てるようにします。ここが離れてしまうと、バイクを起こす瞬間の力が上手く伝わらなくなります。
胸をシートに当てた際、手の位置はハンドルと車体(フレーム)を握るようにします。
力の入れ方
最後に力の入れ方です。力を入れるイメージは、「上ではなく前」です。「前」というのは、バイクを前に押し出すようにする事です。バイクを前に押し出すようにすると、タイヤがストッパーとなり車体がめくれるように起き上がります。
力を上に入れようとすると「バイクを持ち上げる」形となるため、かなりの力がないと車体を起こすのは難しくなります。
力を入れる時の姿勢は、利き足を曲げて陸上のスタートの形を作ります。
体勢が整ったら、一気に前に押し出すようにします。
動画で確認
ニュートラルの場合
ギアがニュートラルの場合、バイクを起こす際にタイヤが動いてしまうため、難易度が上がります。転倒した際に、ギアがニュートラルの場合は、以下の方法でバイクを起こすようにするとスムーズです。
バイクが左に倒れた場合、クラッチ握ってギアを入れます(ギアが入っていない場合)。ギアを入れることでタイヤがロックされて、起こしやすくなります。
バイクが右に倒れた場合は、前ブレーキを握った状態で起こすようにするとタイヤが回転しないため、起こしやすくなります。
転倒を防止するコツ
バイクを容易に起こす事は、必要な技術の1つになりますが、最も重要な事は「転倒しない」事です、転倒しないためには、転倒しやすい場面を知っておいて、事前に準備する事が必要です。転倒しやすい場面として、以下のような瞬間があります。
ハンドルを切った状態で停止しようとする場合、ハンドルを切っている方向に車体が傾きながら停止するようになります。この時に、傾いてくる車体を支え切れずに転倒してしまうケースがあります。教習で転倒する場合は、このケースが殆どです。しかし、このケースは少しポイント押さえるだけで転倒を防止する事ができます。
ポイントとは、足を着く場所とタイミングです。まず、足を着く場所はステップの斜め前方にします。こうする事で、踏ん張りが効きやすくなります。ステップの真横であると、足を広げるようになるため、踏ん張りが効きづらくなります。次に、足を着くタイミングです。理想的なタイミングは、普段より早めに足を出すようにします。停止しながら車体が傾くと、停止直後にバイクが一気に倒れてきます。そのため、停止直前に足を出すと支えきれなくなります。そのため、停止する前に足を出してから、バイクを停めるようにすると転倒を防止する事が出来るようになります。
最後に
バイクの起こし方は、数種類ありますが、今回ご紹介した方法は、オーソドックスな方法になりますので、参考にして頂きたいと思います。
バイクは、二輪車なので倒れる事が当たり前です。自動車学校では、バイクを倒さないように乗るポイント、倒した(倒れた)バイクを起こすポイントについてアドバイスを行います。「倒れたらどうしよう」と考える前に、倒さないための方法、倒れたバイクを起こす方法を身に着ける事が大切です。不安な方は、まず自動車学校に相談頂けると幸いです。
ここまで、引き起こしについて説明をしてまいりましたが、自動車学校のバイクは一般のバイクに比べて、エンジンガードがあるため、起こしやすくなっています。まずは、自動車学校で練習を積んで自信をつけましょう。
自分のバイクで引き起こしの練習を行う方は、殆どいらっしゃらないと思います。自動車学校であれば、練習が可能になるため、起こす事を嫌がらずに練習してみましょう。