クランクのコツ
更新日:2024年2月5日
クランクは、狭く屈折した道路を低速で走行する課題になります。バイク免許を取得する場合、必ず練習する課題になるのですが、クランクが苦手な方は多くいらっしゃいます。
苦手とする理由は、速度を遅くしてバイクを曲げることは、バイクのバランスを崩しやすいからです。そのため、クランクでは、速度を落として曲がる際にバランスを取れるようにする必要があります。
クランクでの速度を調節は、ブレーキとクラッチを使います。バイクを安定させて曲げるためには、目標の取り方(見る所)とハンドルの切り方が重要になります。
このように、書き出し見ると難易度が高そうに見えますが、それぞれのコツを抑えることでスムーズにクランクを走行できるようになります。
当校では、何万人と教習をさせていただいた経験から、クランクを苦手にしないためのコツを5つに絞ることができました。このコツを意識しながら、クランクの練習に取り組んでいただければ、スムーズに走行できるようになる可能性が高くなります。
ここでは、クランクが上手くできない理由とコツをご紹介致しますので、参考にしていただければと思います。
クランクのコツ
クランクのコツは、
- ・クラッチを繋ぐ時機
- ・ライン取り
- ・目標の取り方
- ・体の向き
- ・進入速度
上記5項目になります。
教習をさせていただく中で「クランクが苦手な方」は、上記5項目のいずれかに原因があります。それぞれのポイントとコツを掲載していますので、ご自身の運転とと照らし合わせて分析してみましょう。
クラッチを繋ぐ時機
クランクをスムーズに走行するためには、半クラッチの使用が不可欠です。クランクが苦手な方は、クラッチを上手く使えていないケースが多く見受けられます。では、クラッチをどのよう使えばいいのでしょうか?
クラッチを繋ぐ時機が遅すぎたり、早すぎたりする場合、次のような現象が起きやすくなります。
- ・カーブを曲がる途中、曲がり終わり付近で転倒してしまう
- ・クランクの出口で転倒してしまう(大回りになる)
カーブを曲がる途中、若しくは、曲がり終わりで内側に転倒している方は、クラッチを繋ぐ時機が遅い可能性が高いです。カーブ曲がり切れない、外側に膨らんでしまう方は、クラッチを繋ぐ時機が早い可能性が高いです。
クラッチの使い方に悩んでいる方は、下記のことを意識してみましょう。
クラッチの使い方
クランクでのクラッチの使い方として「曲がる時は、レバーを握る」「曲がり終わりで繋ぐ」ようにすることが重要です。この使い方をする理由は、以下の通りです。
- ・無駄なエンジンブレーキを使わないため
- ・遠心力を弱めるため(小さく曲がるため)
- ・曲がり終わりでバイクに力を与えるため
エンジンブレーキが掛かると、不必要に速度が落ちてしまい、低速でバイクを曲げることが難しくなります。反対に、クラッチを握ると惰力走行になり、前に進む力が弱くなるため、小さく曲がり易くなります。但し、クラッチを握ったままだと速度が失速して、曲がり終わり手前で転倒する可能性が高くなります。
そこでクラッチを繋ぐタイミングが重要になります。クラッチを繋ぐベストなタイミングは、「曲がり終わりから直線にかけて」です。クラッチを繋ぐとバイクは、起き上がるようになるため、内側に倒れ込まずに曲がれるようになります。
ここで注意して頂きたいのが、曲がる最中にクラッチを繋いでしまうことです。もし、曲がる最中にクラッチを繋いでしまうと、バイクが真っ直ぐに進んでしまうため、曲がり切れなくなります。。曲がり終わり=次の直線に向かってクラッチを繋ぐようにしましょう。
難しいときは
クラッチを繋ぐ時機を覚えるために。交差点を曲がる際、前車が遅い時など、低速で走行する状況では、積極的にクラッチを使いましょう。繰り返しクラッチを練習することで、クラッチを繋ぐ時機が覚えられるようになります。但し、不必要にクラッチを使うと、転倒に繋がる場合があるので注意しましょう。
教習開始当初は、クラッチを使用する余裕がない可能性があります。そういった場合は、いきなりクラッチを使用するのではなく、少しずつ使用するように練習していただければと思います。
進入速度
進入速度に課題がある場合は、入口で次のような現象が起きやすくなります。
- ・入口で転倒してしまう
- ・入口が曲がり切れない
入口でバイクが安定しない方は、下記のこと事を意識してみましょう。
クランクは、コース設計が直角となっているため、それを意識しすぎて必要以上に速度を落としてしまうことがあります。二輪車である以上、一定の速度以下になるとバランスが悪くなります。更に、ハンドルを切ると車体が傾くため、速度が遅すぎると転倒していまいます。そのため、クランクでは「適度に曲がれる速度」にする必要があります。
適度に曲がれる速度とは、曲がり具合に応じてバランスを取って曲がれる速度です。事前に、右左折などで速度を落として曲がる練習を行うと思いますので、適度に曲がれる速度を身に付けましょう。右左折と同じような速度にできれば、安定した状態でクランクに進入できるようになります。曲がり切れない状態の場合は、速度が速い可能性が高いので、速度を更に落としてみましょう。
目安は、右左折の速度です。速度については、感覚的な要素が強いため、体で習得できるように練習しましょう。
難しいときは
左折でクランクに進入する際は、左に寄りすぎないようにしましょう。練習開始当初で進入することが難しい場合は、左側を広く空けて進入するようにしてみましょう。但し、左側の間隔には、一定の基準があるため注意が必要です。曲がれる感覚が掴めてきたら、基準に近づけるように練習しましょう。
ライン取り
ライン取りに課題がある場合は、次の現象が起きやすくなります。
- ・急ハンドルになる
- ・ハンドルを切る量が多い
急ハンドル、ハンドルを切る量が多い場合、内側に転倒する可能性が高くなります。そのため、柔らかいハンドル操作が必要になります。
急なハンドル操作が多い方は、下記のことを意識してみましょう。
クランクは、直角にレイアウトされているため「コースに合わせないといけない」と考える場合があります。基本的に、二輪車を直角に近い形で曲げることは、非常に高い技術力が必要です。そこで、ライン取りが重要になります。
ライン取りのイメージは、「カーブを曲がる」にイメージすると良いでしょう。
このような、柔らかいライン取りで走行すると、緩やかに曲がることが可能となるため、急ハンドルによる不意な転倒を防止できるようになります。また、上記で記した「クラッチの繋ぐ時機」「進入速度」を、実行に移しやすくなります。
目標の取り方
目標とは、ご自身が見る所を指します。目標の取り方に課題のある場合は、次の現象が起こりやすくなります。
- ・カーブを曲がり切れない
- ・ハンドルが戻らない
- ・曲がり終わりで転倒する
目標の取り方が不適切な場合「曲がるのが窮屈に感じる」「急なハンドル操作になりやすい」「とにかく不安定」など、曲がること自体が難しくなります。
曲げることが苦手な場合は、下記のことを意識してみましょう。
クランクは、心理的な不安から下(近く)を見てしまいやすく、それが原因となって転倒に繋がりやすくなります。下を見てしまうと、次に対する行動が遅れてしまい、ハンドル量が減少して曲がり切れなくなるだけでなく、クラッチを繋ぐ時機が遅れてしまい、曲がり終わりでの転倒、ハンドルの戻し遅れの原因となります。
正しい目標の取り方
正しい目標の取り方は、常に曲がり終わりを捉えることです。曲がり終わりを捉えることで「そこに向かおう」と操作するようになるため、次の動作に繋がる操作が可能となります。この、次の動作に繋げる操作が重要となります。
目標の取り方は、下図のようになります。赤丸辺りを目標として捉えるようにしましょう。
曲がり終わりを捉えることは、一時的に恐怖心を持ちやすいです。しかし、徒歩、自転車などで行動している場合、先を見て行動しているのではないでしょうか。バイクに関しても、同様であるため恐怖心に打ち勝って先を見るようにしましょう。
体の向き
体の向きに課題のある方は、次の現象になりやすいです。
- ・ハンドル量が少ない
- ・ハンドルを切った時のバランスが悪い
- ・大回りになってしまう
バイクは人車一体となった走行が、車体を安定させるポイントです。バイクの場合、ハンドルの向きと体の向きが一致していないと、不安定になりやすくなります。また、ハンドル量が少なくなるため、曲がる半径が小さくなってしまいます。
ハンドル量が少なくなる方は、下記のことを意識してみましょう。
クランクでハンドルを切る時は、腰の回転を使うようにします。腰を回転させることで、上半身が進行方向に向くため、ハンドル量が増えるだけでなく、車体と体が一体になるため、バイクを安定させやすくなります。進行方向に体が向いていない場合、車体と体が別々に動いてしまい不安定になります。体は正面を向いている状態で、腕だけでハンドルを切っている状態を想像していただけると、解りやすいかもいれません。また、ニーグリップが大切な要素になるため、しっかりとニーグリップを効かせることを忘れないようにしましょう。
クランクだけでなくSコースなど、曲がり具合が小さい場合は、体の向きと進行方向を揃えることが重要です。
クランクに向かう前に
教習の進め方として、クランクの練習に入る前に外周と内周の練習を行います。特に、内周の練習ではカーブの安全速度を確実に守りましょう。その際、目標はカーブの出口に取ります。更に、バイクの傾きを一定に保つイメージでニーグリップを効かせるようにします。
クランクの練習に入るまでに、目標の取り方、ニーグリップ、速度調整、ハンドルの使い方などを練習しておくとクランクがスムーズに出来るようになります。また、課題走行の練習に入られている方は、他の課題でも上記を意識しながら練習すると上達が早くなります。
クランクはクランクとは考えず、バイクをコントロールするための方法を身に着ける事を考えて、練習してみましょう。
最後に
クランクは、「こんな道ないでしょ」と言われることがあります。確かに、クランクのような道路に出くわす可能性は低いと思います。しかし、クランクを通じて身に着ける技術が「安定した安全運転」に繋がります。例えば、駐輪場などで使用できるスペースが少ない場合、Uターンしなければならない状況では、クランクでの操作が必要になりますので、頑張って練習してみましょう。
クランクを苦手とする原因は、教習生の方によって異なります。まずは、ご自身の状態を把握してみましょう。「どの辺りを見て運転しているのか」「体の向きはどうなっているのか」など、課題となっている部分を抽出して、1つずつ意識して練習しましょう。
※苦手な部分には、個人差があります。上記方法で全てが解決する訳ではございませんので、ご了承ください。