小型二輪免許の取り方

更新日:2023年7月18日
小型二輪免許を取得すると、エンジンの総排気量が50㏄を超えて125㏄以下の二輪車(以下、小型二輪)を運転できるようになります。又、小型二輪AT限定免許を取得されると、AT限定の小型二輪を運転できるようになります。
小型二輪免許の取り方は、免許センター(運転免許試験場)で直接受験する方法と、指定自動車学校を利用する方法の2種類になります。但し、どちらの方法であっても小型二輪免許を取得する条件を満たしておく必要があります。
ここでは、小型二輪免許の取得条件と指定自動車学校を利用された場合の免許取得方法、流れについて解説していきます。
小型二輪免許の取得条件
小型二輪免許を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- ・年齢:16歳以上
- ・視力:片眼0.3以上 両眼0.7以上
- ・色別:赤、青、黄色の色別が行える
- ・聴力:10mの距離で90dbの警音器の音が聞こえる
視力と聴力については、矯正器具(眼鏡、コンタクト、補聴器など)を使用可能です。
小型二輪免許の取得方法
小型二輪免許を取得する方法は、運転免許試験場(以下、免許センター)で直接受験する方法と指定自動車学校(教習所)を利用する方法があります。
直接受験
直接受験で小型二輪免許を取得するためには、事前に技能試験の予約を免許センター、若しくは、最寄りの警察署で申請しなければなりません。※詳細については、各都道府県警察のHPでご確認下さい。
受験日当日は、適性試験(視力、運動機能)と技能試験を受験します。両方の試験に合格されると、取得時講習を受講できるようになります。取得時講習を受講後、免許センターで免許の交付を受けて免許取得となります。
※免許を保有されていない方、原付免許のみ保有されている方は、本免許学科試験に合格する必要があります。取得時講習に関しては、応急救護処置の講習を併せて受講する必要があります。
指定自動車学校を利用
指定自動車学校を利用される場合、規定の教習時間及び教習内容を修了後、卒業検定を受検します。卒業検定合格後は、免許センターで実施される適性試験(視力、運動機能)に合格されると、免許が交付されます。
指定自動車学校を利用して免許取得する場合
小型二輪免許の教習に関しては、教習車の重量が軽いため、普通二輪、大型二輪と比べて取り回し(押して歩く)、引き起こし(転倒したバイクを起こす)などが容易になります。又、比較的短時間でバイクに慣れる事ができるため、普通二輪、大型二輪に比べて免許取得の難易度が低くなります。
教習時間及び流れ
小型二輪免許の教習時間は、現有免許(普通車免許以上)及び方式(AT/MT)によって異なります。
AT限定
普通車免許をお持ちの方

※上記技能教習時間は、基準時間となります。補習等になった場合は延長となります。
免許なし若しくは原付免許有

※上記技能教習時間は、基準時間となります。補習等になった場合は延長となります。
MT
普通車免許以上をお持ちの方

※上記技能教習時間は、基準時間となります。補習等になった場合は延長となります。
免許なし若しくは原付免許有

※上記技能教習時間は、基準時間となります。補修等になった場合は延長となります。
教習内容
教習は、技能教習と学科教習が第一段階と第二段階に分けて実施します。普通車免許以上を保有されているは、第一段階の学科教習、及び第二段階の「危険予測ディスカッション」以外が免除になります。
学科教習
学科教習は、道路交通法、及び運転マナーなどについて学習します。受講方法は、対面式とオンライン方式があります。方式については、各自動車学校によって異なりますのでご注意下さい。当校では、オンライン方式のオンデマンド型を採用しております。
※第二段階の「応急救護処置」「危険予測ディスカッション」は、対面式での受講となります。
技能教習
技能教習は、実車とシミュレーターを使用して実施されます。実車での教習は、場内コースで実施します。(路上教習の実施はありません)
第一段階
第一段階は、「基本操作及び基本走行」と題して、基本操作を身に着ける事を重点として進めます。実車だけでなくシミュレーターを使用した教習もあり、幅広い知識も身に着けていただきます。
取り回し・引き起こし
最初に身に着けていただく事は、取り回し(バイクを押して歩く)・引き起こし(倒れたバイクを起こす)です。押して歩いたり、バイクを起こす事は大変そうですが、小型二輪は車重が軽いため比較的スムーズに起こす事が可能です。
発進・停止・変速(MTのみ)
取り回し・引き起こしが終了すると、発進と停止に入ります。発進・停止の操作が、雑になると急発進や急停止となり転倒の危険性が高くなります。アクセル操作、ブレーキ操作は、加減を確かめながら徐々に操作する事が大切です。MTでは、ギア操作の練習を行います。
内外周
内外周とは、緩やかなカーブと直線で構成された周回路の事を指します。
発進・停止が終わると、内外周を使って走行の練習を行います。発進~加速・減速~変速(MT)~停止を、繰り返し行います。反復的に行う事で、操作手順、操作の力加減、バランス取りなどを覚えます。
シミュレーター
第一段階のシミュレーターでは、バイクの特性について学びます。主に、ブレーキングとコーナーリングについて説明します。ブレーキングでは、バイクが前輪ブレーキと後輪ブレーキに分かれている理由の説明から、効果的なブレーキ操作の方法などを身につけていただきます。コーナリングでは、バイクは車体を傾けて曲がりますが、傾ける事での危険性、安全な傾け方など身に着けていただきます。
シミュレーターでは、実車で行うと危険が伴う操作などを、安全に体験する事ができます。
課題走行について
二輪免許の教習において、特徴的な内容となるのが「課題走行」です。課題走行とは、バイクを運転するために必要なスキルを身に着けるための練習になります。練習内容については御紹介いたします。
スラローム

練習内容
スラロームは、大きなパイロンが直線状に設置されており、それを左右交互に避けるように走行します。尚、通過する際は、指定時間が設けられています。
身に着く技術
二輪車は、主に車体を傾けて曲げるようにします。車体を傾けるには、ハンドルの使用や体重移動などがあります。
「ハンドルを使う→車体が傾く→曲がる」といった、一連の流れと動作、感覚を身に着けます。又、アクセルを使用する事で、車体が垂直になるといった感覚も同時に身に着けます。
One Point
目標(見る所)の取り方が重要です。パイロンを見ながら走行すると、パイロンに向かって行くので、車体を通過させたい所(パイロンと次のパイロンの中間点)に、目標を取るとスムーズになりやすいです。
一本橋

練習内容
一本橋は、直線状の台の上を指定された時間以上で通過します。台に上がる際は、白線の直前で停止後、発進して台に上がるようになります。
身に着く技術
低速で走行させるための、アクセルやクラッチ(MT車)の使い方、バランスを取るためのハンドルの使い方などを、身に着けます。加えて、目標の取り方、適切な運転姿勢など様々な技術を身に着ける事ができます。
一般道路では、渋滞など低速で走行しなければならない場面が存在します。そういった、状況で余裕ある運転を行うためには、安定して低速で走行させる技術が必要です。
One Point
「安定した発進」「ハンドルを使ったバランスどり」「目標(見る所)の取り方」が重要です。力が弱い発進は、バランスが悪くなりやすく台に上がる事も困難です。台に上がってからは、ハンドルを使用してバランスを取ります。下を見ると不安定になりやすくなるため、降口に接近しても、降口を見ないようにしましょう。
クランク

練習内容
パイロンが設置された狭い道路を、パイロンに接触しないで通過します。
身に着く技術
アクセルの細かい調整、クラッチの調整(MT車)を行いながら、低速で車体を曲げる技術を身に着けます。更には、低速で曲がる際の目標(見る所)の取り方、体の使い方なども身に着けます。
一般道路では、駐輪、Uターン、、渋滞、右左折など低速で曲がる場面は多々あります。このような場面で、落ち着いて操作する事が安全運転に繋がります。
One Point
MT車であればクラッチを握るタイミングと繋ぐタイミングが重要です。曲がりながらクラッチを握り、曲がり終わりで繋ぐといった、タイミングを身に着けるとスムーズになります。AT車であれば、曲がる際はアクセルを緩めて、曲がり終わりでアクセルを回すようにすると、安定した走行が可能となります。
加えて、ライン取りも重要です。直角で曲げるのではなく、柔らかいラインで曲げる事が重要です。
Sコース

練習内容
パイロンが設置された狭い道路を通行します。カーブになるため、中低速での走行となります。
身に着く技術
カーブを安定して曲がるためには、速度を一定に保つ事で、車体の傾きを一定に保つ必要があります。こういった技術を身に着ける事で、安定したカーブでの走行に繋がります。
One Point
カーブを安定して曲がるためには、目標(見る所)の取り方が重要です。Sコースでは。目の前を見るのではなく反対側まで見通す事が大切です。見通す事で、速度を一定に保ちやすくなります。
上記項目以外に、「坂道発進」「目標停止」などがあります。
第二段階
二段階は、コース走行を中心に行います。一般道路の運転を前提として、信号・標識等に従いながら、基本的な右左折方法、適切な走行位置と速度、安全な進行判断などを身に着けて頂き、一般道路を安全に運転できようにします。
シミュレーター
小型二輪免許の教習は、路上教習がありません。そのため、路上での運転を疑似的に練習するために、シミュレーターを使用します。練習内容としては、多車線道路の通行、車線変更、路上での右左折などを行います。また、シミュレーターを使用した教習では、危険予測、ケーススタディなど二輪車特有の事故事例を学習します。事故事例を学ぶ事で、一般道路を小型二輪で走行する場合の危険を予測して回避行動が取れるようにします。
法規走行
走行順路を決めて法規に従ってコースを走行します。走行の中で、一般道路を安全に運転するための、合図の出し方及び時機(交差点との距離感)、効果的な安全確認の方法、適切な走行位置、進行判断などについても練習を行います。コースの内容には、課題走行も含まれているので、第二段階でも継続的に練習を行います。
回避
一般道路を運転中に、「飛び出し」などが発生した場合の緊急回避行動の危険性、バイクで回避行動を行う難しさを体験していただき、一般道路でより安全な運転行動の取り方を理解していただきます。
急制動
指定された速度で走行を行い、指定された位置からブレーキを掛けて、指定された位置で停止する課題となります。
上記項目以外にも、様々な練習を行いながら安全に走行するための、技術・知識を身に着けていただきます。
卒業検定
卒業検定の実施に関しては、自動車学校のコースと教習車を使用します。これまでの教習で身に着けていただいた、知識・技能を使いながら、コースを走行します。(練習コースと検定コースは順路が異なります)
卒業検定に合格すると、自動車学校を卒業(卒業証明証の交付)する事ができます。自動車学校卒業後は、免許センターで適性試験に合格(免許をお持ちでない方は、学科試験に合格する必要があります)すると、小型二輪の免許証が交付されます。
教習車
AT
小型二輪AT限定免許で使用する教習車は、SUZUKIのアドレス125になります。

車両重量 | 97㎏ |
---|---|
全長 | 1750mm |
全幅 | 635mm |
全高 | 1030mm |
MT
小型二輪免許(MT)で使用する教習車は、HONDAのCB125になります。

車両重量 | 131㎏ |
---|---|
全長 | 2035mm |
全幅 | 765mm |
全高 | 1080mm |
足つき
「足つき」の目安として「シート高」で確認する事ができます。シート高とは、地面からシートの最も低い位置までの直線距離になります。シート高が高くなるほど、地面からシートが離れている事になるので、足が地面に届きにくくなります。
シート高の目安は以下の通りです。
身長 | シート高 |
150㎝未満 | 730㎜以下 |
155㎝ | 780㎜以下 |
160㎝ | 820㎜以下 |
165㎝以上 | 860㎜以下 |
上記の数値が目安となりますが、目安なので参考程度に考えて頂ければと思います。それは、バイクに跨った時の感覚が重要になるためです。例えば、両足が地面に着いたとしても感覚的に合わなかったり、足が届きにくい場合でも感覚的に良い場合もあります。購入前は、色々なバイクに跨ってチェックする事が大切です。
足つきの目安
※指導員の身長:約160㎝


身長約160㎝の場合、シート高が730㎜~750㎜の小型二輪であれば、余裕を持って足を着ける事ができます。
シート高が775㎜の場合は、つま先立ちに近い状態になります。740㎜の場合では、余裕を持って足を着ける事ができています。
足つきが良いと、安心感が生まれるため余裕のある運転が可能となります。反対に、足つきが悪い場合は、不安の中で運転するため、慣れるまでは精神的な余裕が殆どありません。又、緊急停止時などは、不安定になりやすく転倒に繋がる可能性が高くなります。
小型二輪免許で運転できるバイク
小型二輪免許の正式名称は、普通自動二輪小型限定免許(以下、小型二輪免許)になります。名前から解るように、小型二輪免許は普通自動二輪免許(以下、普通二輪免許)の一部に位置付けられているため、普通二輪免許の中で運転できるバイクが以下のように限定されています。
免許の種類 | 運転できる車両 |
---|---|
普通自動二輪小型限定 | エンジンの総排気量が50㏄を超えて125㏄以下の二輪 |
普通自動二輪AT限定 | エンジンの総排気量が50㏄を超えて125㏄以下のAT二輪 |
2005年から二輪免許にAT限定が創設され、小型二輪免許の中にAT限定が誕生しました。
小型二輪免許の注意事項
通行できない道路
小型二輪車では、高速自動車国道と自動車専用道路を通行する事ができません。
高速自動車国道とは、自動車の高速走行のために作られた、全国の主要都市を結ぶ道路になります。(例:山陽道、中国道など)
自動車専用道路とは、市街地やその周辺地域の交通を円滑にするために、自動車のみ通行できる道路になります。(例:広島高速など)
標識などの見落としにより進入してしまうケースがありますので、漫然と運転しないように注意しましょう。
小型二輪免許を取得して小型二輪での通勤を考えたけど、通勤ルートに自動車専用道路があったため通勤ルートの変更を余儀なくされた方がいらっしゃいます。小型二輪免許取得前に免許に関する必要な情報を調べた上で、必要な免許を取得しましょう。
当校では、そういったご相談も承りますので、お気軽にご相談下さい。
150㏄
昨今、普通二輪の中でも「150㏄のバイク」が注目されています。150㏄は、見た目がコンパクトでパワフルな走りが特徴であり、小型二輪ではないため高速道路を通行する事が可能になります。又、車両の大きさ、重量などは小型二輪と大きくは変わらないため購入される方が増えています。 但し、見た目からは小型二輪免許で運転できるように見えますが、150㏄のバイクは小型二輪ではないため、普通二輪(限定無し)免許が必要となります。
限定解除
小型二輪免許を取得後、「普通二輪(限定無し)を運転したい」「MT車を運転したい」場合は、小型二輪限定、AT限定などの限定解除を行う事で、限定を解除したバイクを運転できるようになります。
現有免許 ※ | 解除内容 | 解除後の免許 |
AT小型限定普通二輪 | AT限定 | 小型限定普通二輪 |
AT小型限定普通二輪 | AT限定及び小型限定 | 普通二輪 |
小型限定普通二輪 | 小型限定 | 普通二輪 |
※正式名称で記載しております
その他情報
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