小型自動二輪とは
更新日:2023年8月8日
小型二輪の正式名称は、普通自動二輪小型限定(以下、小型二輪)となり、普通二輪の一部に位置付けられています。小型二輪の区分けとしては、総排気量が50㏄を超えて125㏄以下、若しくは、定格出力0.6KWを超えて1.0KW以下の二輪車とされています。
小型二輪は「維持費の安さ」「手軽さ」「楽しみ方の変容」などによって人気が上がっており、車両を購入される方が増えています。
そんな人気上昇中の小型二輪ですが、高速道路の通行、150㏄の運転に関することなど、小型二輪ならではの注意点があることから、小型二輪の免許取得に関して、悩まれている方からご相談を受けることが増えてきました。
悩まれている内容を含めて、小型二輪の特徴、普通二輪との違い、小型二輪の注意点などを掲載しています。
小型二輪と免許
”小型限定”と名前が付くように小型二輪は、普通二輪の中でも「総排気量が50㏄を超えて125㏄以下(定格出力1.0KW以下)の二輪車」のバイクに限定されます。運転するためには、小型二輪免許、普通二輪免許、大型二輪免許の何れかが必要です。
因みに、普通二輪は「総排気量が50㏄を超えて400㏄以下の二輪車」となります。そのため、総排気量125㏄を超える二輪車(400㏄以下)を運転したい場合は、普通二輪免許が必要になります。
二輪免許は、法改正によってATとMTに分けられました。例えば、小型二輪AT限定免許を取得されると小型二輪のAT車のみ運転できるようになります。
詳細は、以下のようになります。
免許の種類 | 運転できる車両 |
普通自動二輪 | 50㏄を超えて400㏄ 以下の二輪 |
普通自動二輪AT限定 | 50㏄を超えて400㏄ 以下のAT二輪 |
普通自動二輪小型限定 | 50㏄を超えて125㏄ 以下の二輪 |
普通自動二輪小型AT限定 | 50㏄を超えて125㏄ 以下のAT二輪 |
小型二輪車について
ATとMTの比較
ATとMTが販売されており、小型二輪購入時の選択肢が広がっています。
左 小型自動二輪AT アドレス125V 教習車 右 小型自動二輪 CB125F 教習車
ATは、スクータータイプが主流であり、MTは、ネイキッドタイプ(画像のようなタイプ)が主流です。
両車の違いとして、ATは、シートの下に荷物を入れるスペースがあり、車体がコンパクトなためマンションの駐輪場に停められるなど利便性が高いのが特徴です。又、車体が軽く、運転しやすいため、原付からの乗り換え、セカンドカーから乗り換える方が増えています。
MTは、荷物などを入れるスペースはありませんが、デザイン性が向上したことにより、若者を中心に人気が出ています。又、運転している感覚などは、MTの方が上なので運転に楽しさを求める方が購入されています。
この他にも違いがあります。
主要部分の違い
車体の主要な部分の違いです。
アドレス(AT) | CB125F(MT) | |
重量 | 95Kg | 131Kg |
全長 | 1750㎜ | 2035㎜ |
全幅 | 670mm | 765mm |
全高 | 1030mm | 1080mm |
※教習車での比較となります
MTに比べて、ATは小さくて軽いです。そのため、取り回し(車体を押して歩く)、引き起こし(転倒したバイクを起こす)を行う場合は、ATの方がスムーズに行えます。又、センタースタンドを容易に掛けることが出来るため、スーパーなどの駐輪場でバイクを停めやすくなります。
走行については車重が重い分、MTの方が安定します。又、クラッチ操作を行うため自在性の高い運転を行うことが可能です。
では、次に足つきです。
足つき
※指導員の身長は、161㎝です。
シート高(シートの最も低い部分から地面までの高さ)は、ATが740㎜、MTが775㎜となっています。そのため、ATの方がMTに比べて足がつきやすくなります。
足つきは、発進・停止時のバランスに影響を与える要因の1つです。また、安心感など心理面にも影響を与えるため、車体を十分に支えられる車両がオススメです。
メリット・デメリット
小型二輪AT限定と小型二輪のメリット・デメリットを、実際に所有されている方に伺ってみました。
AT
メリット | デメリット |
車体が軽い | 楽しさが少ない |
足つきが良い | 低速時は不安定 |
荷物が入る | バランスを崩しやすい |
MT
メリット | デメリット |
楽しさがある | 荷物が入らない |
安定性が高い | 足つきが良くない |
デザインが良い | 車体が大きい |
ある程度は、想像できる範囲であるかと思いますが、運転して初めて解ることもあります。それが、MTのメリットである「安定性が高い」という意見です。
バイクを運転する際は車体の安定を保つために、ニーグリップ(タンクを膝で挟む)を行います。ニーグリップを行う事で、体を車体と一体化させたり、車体のバランスを保つなどの効果を得られるようになります。そのため、ATは車体の構造上タンクが挟める位置にないため、MTに比べて安定性を保ちにくい側面があります。
それぞれにメリット、デメリットがあるため、小型二輪を運転する目的と将来性を考えて免許取得、車両の購入を検討されるのが良いと思います。
カブ
人気上昇中のカブですが、50㏄を超えて125㏄以下のカブであれば小型二輪AT限定免許で運転することが可能です。カブを運転する場合、ギアチェンジが必要となりますが、クラッチ操作を必要としないためAT限定免許で運転できるようになっています。
普通二輪との違い
普通二輪と小型二輪を比較した場合に、多くの方が気にする部分として、車体の大きさ、車体の重さ等があると思います。実際に「本当は普通二輪免許が欲しいけど、自信がないから小型二輪にしようと思うのですが・・・」といった、ご相談が数多く寄せらています。
こういった場合は、ご相談の中で解決していくのですが、効果的な方法として実際に跨っていただくことが一番です。普通二輪とお悩みの方は、自動車学校などで跨ってから検討されることをオススメします。
主要な違い
小型二輪 | 普通二輪 | |||
アドレス(AT) | CB125F(MT) | スカイウエイブ(AT) | CB400(MT) | |
車重 | 95㎏ | 131㎏ | 250㎏ | 198㎏ |
全長 | 1750㎜ | 2035㎜ | 2285㎜ | 2050㎜ |
全幅 | 670㎜ | 765㎜ | 770㎜ | 750㎜ |
全高 | 1030㎜ | 1080㎜ | 1430㎜ | 1085㎜ |
シート高 | 740㎜ | 775㎜ | 730㎜ | 755㎜ |
※教習車で比較しています
一覧で見ると普通二輪を大きく感じます。反面、小型二輪ATがコンパクトであることを感じられると思います。
車重に関しては、普通二輪の車重を見て「起こせるか不安」と、感じられるかもしれません。確かに、初めて起こす時は苦戦を強いられますが、回数をこなしていく間にコツを掴むことができるので、卒業される頃には起こせるようになっていきます。
他にも、様々な特徴があります。例えば、
・小型二輪MTと普通二輪MTの差は小さい
・普通二輪ATは、他の二輪と比べて大きい
などが上げられます。免許取得やバイク購入の参考にしていただければと思います。
運転の違い
運転した際の大きな違いは安定感です。普通二輪は小型二輪に比べてタイヤが太く、車重も重いため、安定した走行が可能です。又、排気量が大きいことから、パワフルな走行が楽しめるため、バイクを楽しみたい方は普通二輪がおすすめだと思います。但し、車重が重い分、扱いに慣れるまでの時間は、小型二輪の方が短くなる傾向にあります。
限定解除
小型二輪免許を取得された後に「400㏄を運転したい」と、思われる方は少なくありません。そういった場合に必要となるのが「限定解除」です。
小型二輪免許を取得されると、免許証の条件欄に限定に応じた限定条件が記載されます。その場合、限定に応じた車両を運転しなければなりませんが、記載されている限定条件を解除することでステップアップが可能になります。
例えば、小型二輪AT限定を取得された場合、AT限定を解除して小型二輪免許にすることができます。
限定解除の例
現有免許 ※ | 解除内容 | 解除後の免許 |
AT小型限定普通二輪 | AT限定 | 小型限定普通二輪 |
AT小型限定普通二輪 | AT限定及び小型限定 | 普通二輪 |
小型限定普通二輪 | 小型限定 | 普通二輪 |
※正式名称で記載しております。
限定解除の詳細は、下記リンクで御確認いただけます。
小型二輪免許の取り方
小型二輪免許の教習時間は、他の車種に比べて時間が短いため、来校回数も少なく、免許取得費用をお安くなる傾向にあります。お忙しい方が、敢えて小型二輪を選ばれる場合もあります。
又、小型二輪は16歳から取得可能です。高校生の方で、進路先への通学・通勤のために普通車とセットで取得される方が増えています。
小型二輪の注意点
高速道路の通行
小型自動二輪は、125㏄以下になるため高速道路を通行する事ができません。高速道路は、”高速自動車国道” ”自動車専用道路” の2つに分かれます。高速自動車国道とは、自動車の高速走行のために作られた、全国の主要都市を結ぶ重要な道路です(山陽道、中国道など)。自動車専用道路とは、市街地やその周辺の地域の交通を円滑にするために、自動車のみ通行できる道路です(都市高速など)。小型自動二輪は、高速自動車国道及び自動車専用を、通行する事できません。通勤などで、小型二輪を利用するために免許取得をお考えの方は、通勤ルートなども含めて免許取得を検討していただければと思います。
二人乗り
免許取得後日から1年間は、二人乗りを行う事ができません。免許を取得した直後から「子供の送り迎えを小型二輪で!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、免許取得日から1年間は、二人乗りを行う事はできないので、ご注意下さい。又、車両の構造上(同乗者のステップ、シート等)二人乗りが出来ない車両もあるため。購入される前に、お店の方にご相談いただいて、購入を検討される事をお勧めします。
150㏄
今、密かなブームとなっているのが150㏄の普通自動二輪です。150㏄なので、高速道路を通行が可能です。車体の大きさも125㏄と比べても、大きく変わらないため人気が出ています。但し、150㏄の二輪車は、普通自動二輪(小型限定ではない)となるため、普通自動二輪免許が必要となります。
ロイヤル
ロイヤルドライビングスクール広島は、昭和60年(1985年)広島県初の二輪専門校としてスタートしました。二輪教習に限れば県内でも長い歴史を持つ自動車学校となります。この長い歴史の中で培ってきたノウハウは、現在の指導員にも脈々と受け継がれています。それもあり、これまでにご卒業頂いた多数のお客様から、ご好評頂いております。しかし、全てのお客様にご満足して頂いているわけではございません。私共は、顧客満足度№1となれるように、教習方法、話術等を指導員の間で日々、研究しております。
安全に運転して頂くために
二輪は、危険な乗り物です。それは、昔に比べて車両が高性能となった現在でも変わりありません。では、その危険な二輪車をどのようにすれば、安全に運転できるのか?安全に運転するためには、何が必要であるのか?私共は、真剣に考えて参りました。その1つが ”心” です。「安全に運転しよう」「注意して運転しよう」そういった運転者の気持ちが安全に運転して頂く重要なポイントであると考えております。「この道具は危険だから注意して扱って」「この作業は危ないから注意して行うように」と、言われると殆どの方は注意するのではないでしょうか?しかし、「どのように注意すれば良いのか?」「何に注意すれば良いのか?」を”方法”として具体的にしなければ、注意しようと思っても注意する事はできません。当校では、”心” と ”方法” の両面に重点を置いて教習をさせて頂いております。
小型二輪免許は、その手軽さから取得者が増加しています。その反面、危険なすり抜け、追い越し等を見かける事があると思います。「先を急いでいる」「早く行きたい」という心理がそういった運転行動を取らせていると感じます。事故を起こさない、遭わないためには「ゆとり」が必要です。心に「ゆとり」をもち、時間、判断に「ゆとり」を持たせましょう。
乗ってみた感想
小型二輪ATを運転してみた感想ですが、一言で申し上げると「便利」です。通勤だけでなく、近所のコンビニへの買い出しから、数キロ離れたショッピングモールへの買い物まで、幅広く利用することができます。更に、メットインが大活躍です。特に、移動中に雨が降ってきた時などは、すぐにカッパを出して着用する事ができます。駐輪場にすぐ止められるのも大きなメリットです。
交通の流れに乗れる事は良かったのですが、車体が小さいために見落とされやすいことがありした。大型車だけでなく、意外と他の二輪車に見落とされることがありました。急な割り込みをされないために、他車の死角部分に入らないように運転することが重要です。